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 酸化還元電位(ORP)
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| CO(NH2)2 + H2O | → | 2NH3 + CO2 | 
| NH3 + (3/2)O2 | → | NO2- + H2O + H+ | 
| NO2- + (1/2)O2 | → | NO3- | 
| NH3 + 2O2 | → | NO3- + H2O + H+ | 
このことは酸化還元電位が低いほど、酸素を消費する有機物などの有害な成分が多い(好気バクテリアが沢山働いている)と判断する事ができることとなるわけです。
      通常リーフタンクでは酸化還元電位はだいたい350mVから400mVくらいを目安として調整するようにしますが、これが300mVだとしてもタンク自体の調子が良ければ特に問題はないといわれています。(どれくらいが下限だかよく分かりませんが、自然界での平均はだいたい320mV以上だそうです。)
      
      実際には、リーフタンクでのORPは値がどれくらいかというよりも、どちらかといえば値がどのように変動しているかが重量なファクターとなります。安定した状態のタンクであれば、ORPはだいたい一定の振り幅で落ち着き大きな変化はおきません。だいたい、昼照明を点けていて夜照明を消しているパターンのタンクでは、光合成が始まる直前の朝がORPの値が最も高く、照明が消える直前では低くなる傾向にあります。(これは水素イオンの増減によるものだと思います)
| CO2 + H2O | → ←  | 
            CO32- + 2H+ | ・・・水素イオンH+は酸化体 | 
| CO32- + H2O | → ←  | 
            HCO3- + OH- | ・・・水酸イオンOH-は還元体 | 
海藻や褐虫藻が多く含まれるタンクでは照明があたる時間は光合成により、酸素(とグルコース)が供給されますので、ORPも上昇する傾向にあります。
6CO2 + 6H2O → C6H12O6 + 6O2
夜間には海藻、褐虫藻も魚やバクテリアと同じに酸素を消費し二酸化炭素を排出します。二酸化炭素CO2は水H2Oと結合し、炭酸イオンCO32-と水素イオンに変化します。
| CO2 + H2O | → ←  | 
            CO32- + 2H+ | 
ORPは酸化体の増減により値が増減するので、これが総ての要因ではないのですが水質が安定した状態では酸化体や還元体の変化は水素イオンの増減によるものと思っていいようです。
結局の所、酸化還元電位で何がわかるのかというところになるんですが、単純にいってしまうとタンクの状態がわかるということになります。前記しましたが、タンクでは直接の値よりもどのように変化をしたかの方が重要です。ORP値をモニタする事によって水質の状態や水のできあがりや、タンクの生体飼育許容量等を判断することができます。
      
| 水のできあがりを知る | ||||||||||||||||||
| タンクの立ち上がり時の、ORP値はだいたい低い値になります。水ができあがってくるに従ってORP値がだんだん上昇してきて、あるところでほぼ一定の値となります(朝夕の振幅や多少の変動は常に起こりますので、平均して安定すれば問題はないと思います)。この時点で、水はできあがったと判断できます。 | 
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| タンクの生体許容量(濾過能力)を知る | ||||||||||||||||||
| ORP値が安定しているタンクに新たに生体を加えたとします。加えた生体の大きさや数にもよりますが、生体を入れた直後からORP値が下がり始めます。許容量が十分であれば、ある程度下がると再びORP値は上昇し、生体を入れる前の値とほぼ同じ値になります。許容量に余裕がくなってくると、最終的なORP値が生体を入れる前の値より、だんだん低い値で安定するようになり、許容量が十分でないとORP値が下がり続けるか、かなり低い値となります。経験的には6時間くらい、遅くても約24時間でORP値は復帰するようです。これを過ぎても復帰しない場合は、やはり許容量を超えていると判断する方が良いと思います。この場合、直接の原因である生体の数を減らすか、新たにライブロックやライブサンドを追加したり、プロテインスキーマの能力を上げたりする等してキャパシティを上げてあげる必要があります。 | 
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| タンクの状態を知る | ||||||||||||||||||
ORP値の急激な下降(上昇)でタンク内に何か異常が発生している可能性があることがわかります。通常安定しているタンクではORP値も平均してほぼ一定の値を示していますが、酸化体と還元体のバランスが崩れるとORP値は大きく変動します。
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| 朝夕(照明のON/OFF)でのpH変動 | ||
| ORP値は水素イオンの増減(pH値の増減)により変動します。pHと反作用の関係にあります。 | 
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| 生体をを追加した | ||
| 新しく生体を入れると、ORPは一時的に低下します。濾過能力が十分であれば元に戻ります。許容量を超えると元に戻らなくなります。 | 
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| 粗悪なライブロックを入れた | ||
| 十分にキュアリングされていないライブロックを投入すると、ライブロックに付着している生物が大量に死滅する事があります。また、良質なライブロックであっても、水合わせがきちんと出来ていないと大量に付着生物を死滅させる可能性があります。 | 
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| 水替えや大量に足し水をした | ||
| 水替えをすると一次的にORP値は低くなります。また水分の蒸発などで足し水をする時に大量に水を足すとORP値が下がる事があるようです。 | 
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| 魚やサンゴ等の生き物が死だ | ||
| 生体が死んだ場合、死体を分解するバクテリアが酸素を消費するので、ORP値は急激に下降します。 | 
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| コケが大量に死んだ(海藻が死んだ) | ||
| コケの掃除等で大量のコケが死滅したり、海藻が死滅するとORP値が下がる事があります。 | 
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| エサを大量に与えすぎた | ||
| 食べきれないほどの餌をあげると、残ったエサを好気菌が頑張って分解するため、酸素が消費されORP値が低下します。 | 
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| 添加剤を使った | ||
| 添加剤によっては一時的にORP値が高くなったり、低くなったりするものがあります。ヨードや過マンガン酸塩カルシウムや含まれているものでは上昇するようです。 | 
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| プロテインスキーマの汚れ(又は故障) | ||
| プロテインスキーマが汚れてくると、処理能力が低下するのでORP値が下がります。エアーポンプ式の場合エアーストーンが古くなると能力が低下します。また、故障や砂が噛んだりして正常に動いていない場合もあります。 | 
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| オゾナイザーの汚れ | ||
| オゾナイザーの場合は汚れというのかどうか定かではないのですが、能力が低下するとORP値も低下します。UV球を使う物はUV球が古くなると能力が低下します。 | 
          
| ネルンストの式 | ||
E = E0 - ( RT / zF ) Ln( Ared / Aox ) E : 酸化還元電位 E0: 標準電極側の電位(標準酸化還元電位) R : 気体定数=0.08206 atm・dm3 / K・mol = 8.314 J / K・mol T : 絶対温度(K) z : 溶液イオンの原子価 F : ファラデー定数=96,485 C mol-1. Ared : 還元体の活量 Aox : 酸化体の活量  | 
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