炭酸塩硬度(KH)とアルカリ度

アルカリ度

まず最初に、論理的な炭酸塩硬度(KH)とアルカリ度は別物です。アルカリ度はアルカリ成分の量であり、硬度とは水の中に溶けているカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量のことです。

炭酸塩硬度(KH) ≠ アルカリ度

ではアルカリ度とは何かというと、水中に含まれるアルカリ成分(炭酸:H2CO3、炭酸イオン:CO32-、炭酸水素イオン:HCO3-、水酸化物イオン:OH-等々)を炭酸カルシウム:CaCO3に換算したもので表されます。つまり、いろいろなアルカリ成分があるので、これをみんなCaCO3に換算して、水中にどれだけの炭酸カルシウム:CaCO3が存在しているかを表しているということです。

参考までにということですが、アルカリ度もメルクパーリットル単位[meq/L]や炭酸カルシウム:CaCO3換算、炭酸水素イオン:HCO3-換算、炭酸イオン:CO32-換算などがあり、次のような関係になっているそうです。通常は炭酸カルシウム:CaCO3換算です。

アルカリ度 (mg/L as CaCO3) = 0.01998 × アルカリ度 (meq/L)
アルカリ度 (mg/L as HCO3) = 0.4917 × アルカリ度 (mg/L as CO32–)
アルカリ度 (mg/L as HCO3) = 0.8202 × アルカリ度 (mg/L as CaCO3)

アクアリュームの観点では、アルカリ度はpH変化の緩衝能力値としてとらえられています。アルカリ度の中に含まれる弱塩基はpHを維持する緩衝能力を持っています。つまり、酸素イオン:H+が多少増減してもpHを変化させない能力のことで、アルカリ度が高ければ緩衝能力は高く、逆に低ければ緩衝能力が低いので多少の変化でpH値が大きく変動してしまうこととなります。

炭酸塩硬度(KH)

炭酸塩硬度は炭酸水素イオンと結合するであろうカルシウムイ」オンとマグネシウムイオンの濃度のことでとですが、これらのイオンを直接測定することは困難であるため、KH試薬はアルカリ度(炭酸水素イオン+αイオン)≒炭酸水素イオン濃度:[HCO3-]を測定しCaCO3量に換算したものを逆算してドイツ硬度(dH)として表しています。(たぶんあっていると思うのですが)
つまりKH試薬での測定結果は炭酸塩硬度ではなく「炭酸水素イオン濃度:[HCO3-]」ということになります。試薬レベルでの話をすれば、アルカリ度とKHは次の式で表されます。

炭酸塩硬度:KH(dH) = アルカリ度(meq/L)×2.8 = アルカリ度( CaCO3mg/L)×0.056

meq/L ・・・・ ミリ当量のことでメックパーリットルと読みます。

炭酸塩硬度の単位硬度の単位dHはドイツ硬度のことで、アメリカ硬度はppmで表されます。日本ではアメリカ硬度を使うことになっていますので、通常の生活範囲では硬度はppmで表されていると思います。ドイツ硬度とアメリカ硬度は、炭酸カルシウム:CaCO3換算で

1dH = 17.86ppm (炭酸カルシウム:CaCo3換算濃度 1mg/L = 0.056dHです。)

の関係を持ちます。ついでですが、炭酸水素イオン濃度とアルカリ度の関係は次式のようになります。

炭酸水素イオン濃度:[HCO3-]=アルカリ度(mol/L)×3.571×10-4=アルカリ度( CaCO3mg/L)×21.78

Kalkwasserを使っていると、この炭酸塩硬度の値が高く出る場合があります。これはKalkwasserがOH-を多量に含むため試薬が誤った値(試薬的には正しいのですが)を出すためです。Kalkwasserを使っていて炭酸塩硬度が常に高い値を示しているのであれば、アルカリ値からも炭酸塩硬度は求められますのでアルカリ値を測定した方がいいかもしれません。ただし、それぞれの試薬で測定の仕方が異なるので、実際には炭酸塩硬度の測定値とアルカリ度を測定して求めた炭酸塩硬度は等しくなることはほとんどないと思います。



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